社長挨拶

蘭の美しさと再生力の強さに感動

私が胡蝶蘭栽培に携わることになったきっかけは、実はカトレアです。
大学の温室の棚下に手をかけずに置かれていたカトレアを、先生に言われるがまま鉢に植えてみたのがきっかけでした。用意してくれた鉢に水苔で植えたカトレアは見る見るうちに蕾になり、綺麗な花が咲き、私はあっという間に蘭に魅せられました。
偶然におきたこの出来事が、当時「草花の生産者になりたい。」と考えていた私の将来を変えました。「胡蝶蘭の栽培をしたい。」と強く思い、大学卒業後は桶川の胡蝶蘭生産者のもとで働かせていただくこととなりました。
当時の経験が現在の黒臼洋蘭園の礎となっています。現在もその熱は冷めることなく、胡蝶蘭栽培に携わらせていただいています。

4つの温室でスタートした農園

胡蝶蘭は今でこそクローンで増殖するのが一般的ですが、当時は交配した胡蝶蘭から種をとり胡蝶蘭を増殖していました。段ボールの中に無菌状態の環境を作り、発芽させていました。
今では25棟もある温室ですが、発芽してから花が咲くまでに4年もかかる胡蝶蘭を4つの温室で栽培していたんですね。
胡蝶蘭は生き物ですので、人間が同じように育てているつもりでも、同じように育ってくれなかったりと、いつの時代も苦労することは多いです。
ですが逆に手をかけたら、かけただけ、その気持ちに応えて立派な花を咲かせてくれるのが、胡蝶蘭に魅了されるポイントの一つです。

胡蝶蘭栽培の先進国 台湾との提携

発芽から開花までに4年もかかる胡蝶蘭。創業当初は全てを園内でしておりましたが各栽培過程で分業する「リレー栽培」というシステムに。これは国内の生産者で協力していましたが、その後、台湾の業者と協力して安定した供給が可能となりました。原産地の気候に近い台湾は胡蝶蘭栽培がとても盛んなのです。
創業から数年経ってから訪れた台湾の生産農園を見学させていただいた時は驚き、感動、感激...様々な感情が溢れてきたのを今でも覚えています。当時台湾のクローン技術の発達はもの凄く、いろいろと学ばせていただくことが多かったです。台湾の生産者に協力していただき、日本の胡蝶蘭栽培はとても進化しました。やはり海外なので遠く感じると思いますが、密な連絡や視察等で意思疎通をはかっています。

いつの時代も喜ばれる胡蝶蘭

私が創業した頃は胡蝶蘭は今のように鉢物ではなく、切花で出荷・販売をしていました。バブル景気も手伝ってか、多くの花屋さんに重宝していただき、毎朝3時から5時に埼玉から都内にまで配達に行ったものです。まだ小さな子供たちを置いて配達に行くのは辛いものがありましたが、花屋さんやそれを買っていくお客様の顔はとても元気をくれました。朝から晩まで栽培、朝方には配達、今も元気でいられるのが自分でも不思議なくらいですが、人に喜んでいただけるこの気持ちは何物にもかえられないですね。
今では店舗に足を運んでくださるお客様の顔が見られて、声が聞けて最高の職業だと思っております。お客様が買ってくださるのに「ありがとう。」と言っていただける、とてもありがたいです。

これからも最高の胡蝶蘭を

胡蝶蘭栽培に携わって36年以上が経ちますが、まだまだ勉強することばかりです。
さらに胡蝶蘭栽培に打ち込み、私が胡蝶蘭から受けた驚き、感動を皆様にもお伝えしていきたいと思っております。これからも最高の胡蝶蘭を皆様にお届けできるよう、努力してまいります。

代表取締役 黒臼秀之